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過密スケジュール

予定がぎっしり詰まっていて、自分は芸能人ではなかろうか、と錯覚するときがある。

って、ウソ。

明日から一週間ほど、東京へ行ってきます。

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Kさん

Kさんは、30年以上のキャリアを持つ看護士。

年齢は聞いた事ないので定かではないが、お孫さんが3人いるので50代ではないかと思われる。

が、どこからどうみても若いのだ。

どんな風に若いのかというと、うちの母が「いい人がいるので会ってみないか」、と見合い話をもちかけたほど、若い。
それに、10年前の洋服が普通に入る、そうだ。
我々中高年の年代になると、この10年前の洋服(おもにウエストまわりを指す)が着れる人はめったにいまい。

そういえば、数年前このKさんに、「あらっ、アナタ3人目ができたの?」と、私の自腹を妊娠と間違われたことがあったっけ・・・・・・・。
そのとき、人間マジで泣きたいときは、以外と笑ってしまうんだ、と思わぬ発見をしたんだよなぁ。

さて、そのKさんがご来店下さるたび、その衰えぬ若さと美貌に感心する私だが、ここ最近ショックだった出来事をKさんに聞いてもらった。

うちのお風呂には鏡がある。昨年くらいからその鏡に映った現実の自分の裸を見るのが耐え難く、今は後ろを向いて体を洗うようにしてるのだが、ひょんな拍子に後ろを振り向くと、鏡に映った自分の背中が、虫に刺されたのかどこかでぶつけたのか、腫れていて驚いた。すぐにお風呂から出て、母に腫れてる背中を見てもらったのだが、母はバチンとその腫れてる背中を叩いて一言、「肉よ、肉、肉、これは腫れじゃなくて、ただの肉!」。

Kさんは3分は笑い続けた。

そして、「こんなに笑ったのは久しぶり。こんな作り話で私を笑わせてくれてありがとう。」

決して作り話ではないのだが、Kさんには背中の肉がないため、この現実の話が理解できなかったのだ。

もはやここでも笑うしかなかった私であった。


BGM

結婚式において、その場の雰囲気を盛り上げるものとして、「BGM」は最も重要なものだ。

真っ暗な会場の中に、そこだけスポットライトがあたり、純白のドレスに身を包み長いベールをかけた花嫁が、伏せ目がちに立っている。
流れる音楽は、「アメージンググレイス」。
その美しい音楽とともに、ゆっくり歩き出す花嫁。
どこか幻想的で、自然と涙が・・・・・・・。

この仕事に携わって、本当にBGMの大切さを感じる。

さて、かなり前になるがその結婚式では全てのBGMを、お二人が決めてきた。

披露宴が始まり、やがて最後のキャンドルサービスとなった。
お色直しをした新郎新婦が、各テーブルのキャンドルに灯をともすのだ。

司会者が、「最後のお色直しが整ったようでございます。皆様お開き口をごらん下さい。」
ドアが開けられ、ドーンと流れた音楽は、水戸黄門の曲だった。

じ~んせ~い、らっくあっりゃ、く~もあ~る~さ~

お二人は、キャンドルのトーチを持って、進んでいく。
静まり返る会場。

ザワザワっとしたのは、新郎新婦の叔父様叔母様の席だ。
立ち上がって、大笑いしながら拍手している。

それにつられて、年配の方々は皆立ち上がって拍手しだした。
一緒に歌う人もいる。
最後は大合唱となり、その顔は皆、笑顔笑顔である。

水戸黄門でキャンドルサービスなんて、ある意味ひとつの挑戦とも言えよう。
いや、まて、あの歌の歌詞は、これから共に人生を歩く二人にはピッタリの言葉が並んでいる。
結婚式の最後を締めくくる曲としては、最高ではないか。

水戸黄門の曲で、あんなに感動したのは、あとにも先にもあの時の結婚式だけだ。
BGMは本当に大切だ。




チケット

探し物をはじめて一週間が経つ。

例の浜田省伍のチケットだ。

引き出しは全部ひっくり返し、棚という棚は一度全部物をどかし、本という本は一枚一枚ページをめくり、おかげですごく整理整頓ができた。
もうこれで誰の前だろうが、引き出しを開けても恥ずかしくないぞ。
(イヤ、そうじゃなく)

はっきり言って、探し疲れた。
「もう!私のバカ!!」と、グーで自分の頭を叩いたところでチケットが見つかるわけもなく。

その部分の記憶がすっかり抜け落ちてる自分への腹立たしさと、「どこかにあるだろう」と、余裕をかましてたのに、実際にはどこを探してもないものはないという現実にひどく落胆し、もうヘトヘトだった。

そんなヘロヘロ状態の私に、今日のお客様Hさんは、ロットを巻いた頭であるにもかかわらず、立ち上がって一緒に探す、と言って下さった。

Hさんは数年前まで事業を営んでいたのだが、景気の流れを敏感に察知し、きれいにその事業を畳んだ方だ。
人に言えぬ苦労は数知れず、私のうかがい知れない山や谷を、幾度となく踏み越えてきたことは、容易に想像がつく。

「いえ、もうあきらめました。浜田省伍と縁がなかった、ということでしょう」という私に対し

「私が帰ってからでもいいから、もう一回だけいつもあなたが立ってるレジの付近だけでも捜してごらん」

Hさんを見送ったあと、大きなため息をつきながら、いやいや探してみることにした。

端のA4サイズの茶封筒に手を伸ばし、「こんなデカイ封筒に入ってるわけ・・・・・・・・・ン?あ、あ、あったー

すぐに今帰ったHさんに電話した。なぜか途中で泣けてきて、まるで幼稚園児が泣きながら言うアレだ。

「うっ、ウー、ジゲッドが ヒック あっだんでずよぅ~ ぼう、ヒクッ うでじぐで~~」

Hさんも泣きながら「よがっだで~~」なんて言うわけない。
よかった、よかった、と言って下さった。

確実に、Hさんが「もう一回」と、言ってなかったら、私はチケットを探す事はなかった。
また、Hさんだったから探したのだ。

と、ここまで書いて初めから読み返してみて、私ってなんて大げさなヤツだ!と笑ってしまった。

今回の騒動の教訓として、「何事もあきらめない」と胸に誓った。
いや、「大切な物をポンと置かない」か・・?




前世

Mさんが、10年程前に初めてうちのお店にご来店して下さった時、全くの初対面だったのにもかかわらず、妙に親近感を覚えた。
「以前、どこかであったことあるな」
と思ったのだが、どうしても思い出せない。

そして2度目のご来店。
やっぱり、どこかで会った気がしてならない。
思い切って、Mさんに聞いてみた。

「間違ってたら申し訳ないのですが、以前どこかで会ってますよね?」

するとMさんは、実は自分もこの間来た時そう思ったが、どこで会ったのか思い出せず、今日聞いてみよう と思ってたと言うではないか!

二人でしばらく考えてみたが、二人ともどうしても思い出せなかった。

初対面だったのに、初対面ではない、と二人とも感じたのだが、10年経った今でも私達の関係はお客様と美容師であり、その線を越えた付き合いはない。

ご来店して頂いてるとき、プライベートな話もそんなにしないし、友達感覚でしゃべる、ということもしない。

だが驚いた事に、私とMさんは同じ時期に同時に、家を新築し始めたのだ。

やっぱり、何かある。

そうだ!今風に言うならば、いやいや江原ナントカと美輪様風に言うならば、私とMさんは前世でお知り合いだったのだ。
そうだ、絶対そうにちがいない、と思いながら今日Mさんのカットをした私であった。

  

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